第630回 ヘルプ・ミー!

  • 2012/02/27(月) 17:36:15

Nr.630, Hilfe mir!

グルジア編


(前回「第629回 世界遺産の町で」の続き)


(トビリシ、Tavisuplebis Moedani Metro Station)


振り向くと
わたしの履いていたジーンズの切れ端が、よだれに濡れた犬の口元から落ちる。

左足のふくらはぎ付近からジーンズが裂け、
雪のような真っ白な柔肌から鮮血が。



なおも吠え続け、つきまとう犬。

これでは落ち着いて傷の手当てもできはしない。



隙を見せないように傍らの石を幾つか拾い、
通行する車をやり過ごして
犬目掛けて投石。

何度か投げるものの、その度に犬はうまく避け、
運動量もMAX。

よだれが白い泡に変わりつつあり、ますます興奮してくるのが感じられる。




これはヤ・バ・イ。





犬と対峙しながら後ずさりをしていると
ふと足元に当たったのが飲料のガラス瓶。




これはまさか。。。。




・・・・・・・




ゴクリ。




・・・・・・・




神の天啓か。






結論から言えば
これは使わなかったぴょんで、
犬から遠ざかった所で、傷口を水で洗浄。
幾らかかじり取られていました。

偶然にも水を持っていて良かった。



最寄りの薬局まで自力で行き、
傷口を見せ、添えた手をパクパクさせて「ワンワン!」

これで理解出来ない人などあるだろうか。



そこに英語の分かる客がたまたまいたので指示を仰ぐ。
時刻は18時半。



トビリシまで戻り病院に行って検査してもらった方がいい、
24時間の病院があるから、と。

確かに狂犬病が撲滅された地域には全く見えないし、
旅はもう少し続くので心配だ。



トビリシに着き、バスターミナルでタクシーを捕まえ早速病院へ。

病院だという表示もないし、ましてやグルジア語ばかりで何にも分からない。



こうなったら聞きまくるしかない。

院内薬局に行き傷を見せると、「それなら5階。そこの階段使ってね」



薄暗くほのかにアルコール臭のする階段を上ってみると、工事現場。



え?

ちょっと待て。



もう一度地階まで戻って、今度はエレベーターおばさんに聞く。


別のフロアへ。



扉の向こうのクリニックからやってきた医師は「ここでは処置できない」と言い、
別の病院への行き方を書いた紙を渡される。

またグルジア語。
「3」と「5」しか分からない。。。



本当に病院に着けるのか???



病院前からバスに乗り、行き先を乗客に見せて難なく到着。
現在20時。



「Reception」と書かれた看板に安堵を覚えて扉をくぐると、
すでに状況が知らせてあったのか職員証をぶらさげた案内員が温かく迎えてくれた。



ピンク一色に塗られた廊下を案内され、ようやくドクターの所へ。

入り口には「犬に噛まれる人と、注射器」の絵が張ってある。。。



大変だ。この医者、英語がうまく通じない。

「・・・・ルースキー?(ロシア語はどうだ?)」と言ってくれるが、
それではわたしが分からない。


シェワルナゼ前大統領に似た医師は、言葉が通じない度に「ハ〜?」「ア〜?」

と聞いてきて、終いにはため息だ。

泣きたいのはこっちだよ。



犬に噛まれた時の状況や氏名等を台帳に記入していくが、
前の人の情報が丸見え。
グルジア語だから全く分からないが。



ひとまず洗浄と、包帯。
それから治療費の話になった。

まさかこれで処置終了かと思い、
「え?血液検査や注射はないの?」
と聞いたら奇跡的によく通じた。

どうやら注射をするのは治療費を払ってかららしい・・・

「お金はある?」「いや、ないけどクレジットカードがあるよ」



それを見て精算をする受付の所まで一緒に来て
「カードが・・・」とか「銀行が・・・」とかゴチャゴチャ言っている。



だ・か・ら、クレジットカードだっつーの!
VISAって書いてあるでしょ?
どこの銀行だって使えるよ。
ここではカードを受け付けないならキャッシングしてくるから、早く注射してよ。



さらにわたしが今後の行動予定(旅行日程)を話すと
医師の動きが止まってしまった。
(この日の夜行でバトゥーミ行き。すでに列車の切符も買ってある。その後トルコへ)


何ナニ?今度は何?

バトゥーミ(グルジア西部の黒海沿岸都市)に行くのは問題ないが、
トルコに行くのは困ると。

何で?



ようやく紙に書いて説明することを発明したシェワルナゼ。

「つまりだ、今日注射するだろ。
2本目が3日後。3本目・・・、4本目・・・、最後の5本目が3月24日」
「え?注射って一回じゃないの?」



ガーン。



「分かった、治療の最終日までグルジアにいるよ。注射の日にはここに来るから」



すぐに納得してくれた前大統領。


治療費を払って、領収書を持って行ったら注射してくれました。
初回は3本。



そ・し・て。



14日間の食事制限


「Diet」という言葉を使ってくれた。



NOコーヒー、NOチョコレート、NOミート、NOミルク、NOタマゴ、NOトマト、
NOレモン、NOベリー類、NOビター、NOホットチリ、NO炭酸水



アルコール類は6ケ月間ダメですと。


ワインの飲めないグルジアなんて何の罰ゲームだよ。



何を食べればいいの?

パスタはいいけどトマトソースがダメか。




いやはや、災難でした。


という訳で、あと約4週間。
基本的にグルジアにいるのでお見舞い大歓迎です。
是非とも「渡航の是非を検討してください」



丘の上のジュヴァリ教会まで急坂を登ったり、長距離を歩いたので
翌日からはさらに筋肉痛に悩まされているのでした。



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のび太はジャイアンに追いかけられたり、ママに叱られたりするのに次いで
しょっちゅう犬(おそらく野犬)に噛まれますが
その後の処置はどうしているのでしょうか。

いつも「噛まれて終わり」、のような気がします。
一度ドラえもんがのび太の手当てをしている描写をコミックスで見た記憶がありますが。



ちなみに「ガブッ!」なんて音はしませんので。

第629回 世界遺産の町で

  • 2012/02/26(日) 20:23:21

Nr.629, In einer Stadt der Weltkulturerbe

グルジア編


チェコ編を一旦お休みしてグルジア編。


首都トビリシを夜行列車で経つ当日。
バスで30分の世界遺産の町、ムツヘタに。

バス停から北上すること徒歩約10分。
丘の上に城影が現れます。


ムツヘタ城跡。


眺めは素晴らしく、遠くに山々、眼下に川が流れる。


次に向かうは
アラグヴィ川の向こう岸の丘の上に立つジュヴァリ教会

(右上の小さい建物がジュヴァリ教会)


徒歩です。


城塞を降り、川岸のキャンプ場を抜け、対岸に渡り、
イスタンブールとテヘランを結ぶ幹線道路を渡る。



道なき道を進むと、雪解けで路上がぬかるみ泥でぐちゃぐちゃ。
馬ふんも至る所に落ちていて
全く気を抜けない。
泥に足を取られて全身○○まみれなんてことになりかねない。



ガイドには「タクシーで行くのがてっとり早い」と書いてあったが、
健康なうちは自分の足で登るのが旅の醍醐味、と徒歩で敢行。
途中からは完全な獣道。
木々を枝の隙間を分け入り、雪に残る先行者の足跡を追っていく。



急斜面を登ること約20分。
息も絶え絶え、汗もかいて靴は雪と泥だらけ。



林を抜け車道に出ると猛烈な風が吹き抜け、その先にはジュヴァリ教会が立つ。



正に絶景。



先程、渡った幹線道路にはミニチュアの車が走り抜け、


ムツヘタの町には箱庭のような家々と大聖堂。



教会の縁まで行くと、風のあまりの強さで息ができない。



カメラはぶれ、固定している鉄製の手すりは氷のように冷たい。


ジュヴァリ教会の内部は非常に神秘的で、
千何百年も祈りを継いできた人々の想いが空気に満ちているかのよう。




下りは車道を通って下山。

教会のある丘の後方をぐるっと回るのでかなりの距離があり、
下りだけでたっぷり1時間はかかりました。

幹線道路に出たはいいものの
そこからムツヘタの町に入るには、北か西に大きく回りこまないといけない。

「あるべき場所に橋がない」典型のような町です。



町へのルートに西方を選択。

さっきまでいたジュヴァリ教会を遠く臨みながら
川沿いの道路をムツヘタに向かって歩いて行く。



と、ふいに2頭の野犬が登場。
いずれもわたしに向かって吠えている。

茶色の1頭は飽きたのかすぐに退散。
しかしもう1頭の白黒がしつこく付きまとってきて、相変わらず吠えたてる。



いつまでたっても付いてくるので
本で追い払って適度な距離を保つ。

犬も興奮してきたのか
息が上がり、よだれも垂らし始めている。


そんなことを何度か繰り返し、また歩き始めた瞬間。




ビリ。




イデェェェェェェェェェ!




(長くなりすぎたので、また次回)